森田剛に堕ちるのに、大して時間は必要なかった。
当時デビュー3年目のV6はまさに働き蜂のように、ブンブンと勢いよく働きまくっていた。
メンバーがよく言う「忙しすぎて記憶がない」時代である。
言うまでもなくアイドル誌には毎号出る。(ドル誌卒業を見守るしかなかった、あの切ない日々はまだ先の話)
「学校へ行こう」が始まってからは、必ず毎週1回はテレビで会える。マジカル頭脳パワーや夜もヒッパレなど、グループの冠番組以外にも何かとテレビに出演してる。
ハマっていく過程として、事欠かないほどに露出があった。
おまけにそれらは「見とかなきゃ次の日学校で話題についていけない!」レベルに、人気があって浸透していた。割と既に「国民的アイドル」だったよ、今思えば。
極めつけに私の周囲にはそれ以前からジャニヲタが多く、「好き!」って言っとけば勝手に情報が入ってくるような環境が揃っていたし、臆面もなくアイドルの、ジャニーズの、V6の話を誰彼かまわず堂々と出来る時代だった。
そして何より、
攻撃的なするどい目つき、チャラい髪型に服装。
どう考えても近寄りがたい。絶対関わらない方がいい人種。
なにより、全然タイプじゃない…はず!
だがしかし。
笑うと覗く八重歯に、グググッと下がる目じり。
うひゃうひゃと甲高い笑い声…おぉ、なんとまぁ、ソーキュート。
今まで見たことがないようなカッコいいダンスを見せて瞳を釘づけにしたかと思えば、甘くてかわいい歌声で心をくすぐる。
今思えば、その時すでにギャップ萌えが発動していたんだなぁ。感慨深い。
私よ、よくぞそこに目をつけたぞ。ありがとう。
当時19歳の森田剛と、当時14歳の私。
少し年上のちょっと危険な香りのするカッコいいお兄さんは、瞬く間に私を虜にした。
「この時!この瞬間!!」ではなく、日々の生活の中でじわじわと染み渡る様に…。
とまぁ、そんなこんなで、出会いから急激に速度を上げて私はどんどん森田剛にハマっていくのだった。